女優の工藤綾乃さんが1日公開の映画『喝風太郎!!』に出演している。『サラリーマン金太郎』の本宮ひろ志氏の人気漫画を映画化した本作。長年の修行を終え、ボロボロの袈裟に身をつつみ街へ降り立った風太郎(市原隼人)は、破天荒、非常識な振る舞いで出会う人々を振り回すが、思いのままに生きる風太郎によって、人々の心が解きほぐされていく……というストーリーとなっている。
--構成が面白い作品ですね。工藤さん演じるネット依存の女性・詩織をはじめ、問題を抱えて生きている人たち、それぞれがメインのオムニバスのようであり、すべてのエピソードが繋がっているという。
「そうですね。実は全部が繋がっているんです」
--そんな中、詩織はネット依存の女性ということで、現代ではわりと多い女子ですよね。
「はい。SNSなどスマホの中の世界が自分の世界の全てだという女の子です。やりやすかったですね、自分もネットに頼りがちなところもあるので。今はスマホがないと生きていけない時代じゃないですか、必要な情報がそこに全部入っていて。朝起きるのもスマホに起こしてもらっているし、そういう意味では詩織役に入って行きやすかったです。でも100%気持ちを理解できるかというとそうでもなくて、悩むこともありました。やっていくうちに詩織の気持ちをつかめていったのかなと思います」
--性格的な面では?
「私は人と話すのが好きなので真逆ですが、詩織のことをわかる部分もあります」
--工藤さん自身は、ネットに振り回されるという経験は?
「私はそんなにネットの評判を意識するほうではありません」
--映画を観る人からしたら、詩織が一番普通っぽいというか、一番自分と重ね合わせられる存在なのかも。
「そうですね。私の役が一番現実的というか。ネット依存になっている人って、スマートフォンが普及してから特に増えていると思いますし、すごく現実的で感情移入しやすい立場なのかなと」
--撮影が行われたのは?
「昨年の12月に浜松で撮っていました。寒かったです! でも市原さんが一番大変そうでした。極寒の中で袈裟姿は。私、結構重ねて着ていたので、寒いとも言えなくて」
--今回の役で新たに取り組めたことは?
「前まではクセが強い役が多かったんですけど、ナチュラルなお芝居ができたのかなと思います。少し前だと、中国人役とか、ヤンキー役とか、自分とはかけ離れた役をやっていたので、今回は一般的な悩みを抱えている女の子ということで」
--よく言われることだけど、普通の役こそ演じるのが一番難しいと。
「すごく難しかったです! 今年放送のドラマ『つばめ刑事』のときも普通の役でしたけど、あれは本当に素だったので、役柄が」
--役を演じているのではなく、工藤綾乃がそのまま出てるみたいな。
「そう、観た瞬間、『これ、私やん』って(笑)。だからすごく楽しんで演じていました。今回はちょっと違う部分もたくさんあったので、どうやって自分を役に近づけようかと悩んでいました。でも、その差を埋めるためにどうしようかなと考えることは楽しかったですね」
--工藤さん自身、ネットじゃなくても、何かに依存してしまうことは?
「私の趣味はお酒を飲むことで、詩織の趣味はネットなのでストレスを発散する手段が違うけど……あ、でもそれは違いますね」
--お酒に依存……というと、もっとヤバい人になってしまいますから(笑)。
「依存ではないですね(笑)。ただ楽しんで飲んでいるだけなので、大丈夫です(笑)」
--嫌なことがあって「もう今日は飲むぞ!」という日も?
「ちょっと前まではそうだったかもしれない。20歳くらいのときとか」
--20歳って、飲み始めてすぐじゃないですか!
「飲み始めてすぐのころは、お酒の力に頼っていましたけど、最近はちゃんとしてます。嗜む程度。楽しむために飲んでいます。一人で飲むことはやめて。私30代の人みたいなこと言ってるけど(笑)、いろんな人と楽しいお酒を飲むことを心掛けています。20歳のときは"酔っ払う"ということが楽しかったんですよ。『楽しいー!』って。誰だってありますよね!?」
--まぁ、それはわかりますが……。そんなお酒は依存ではないとして、ほかについ依存しがちなものとしては?
「弟に依存しています。大好きなんですよ!」
--かなり昔のインタビューでそういう話を聞いた気がするけど、全然弟離れできてないんですね。
「ずっとそうです!18年間。弟が生まれてきてから18年間ずっと変わらないです。可愛いんですよ! でも、今思春期なので、電話しても出てくれないんですよ」
--男の子が思春期にお母さんのことをウザいと思う時期があるような、そんな感覚なのかな?
「そうですね、ツンデレなんですよ。私の誕生日には長文のメールで、『お姉ちゃんのことを尊敬してる』とか嬉しいことを書いてくれるんですけど、直接話すと、『いや、何?』みたいな態度で」
--それはわかりますよ。その年頃の男の子って、たとえば「お母さんありがとう」とか、なかなか面と向かって言えないような。
「弟が今年受験で、面接試験があるというので、電話で面接の練習の相手をしてあげていました」
--弟さんにとってはありがたい存在ですね。オーディションには慣れていて、コンテストではグランプリ(2009年、全日本国民的美少女コンテスト)までとってるお姉さんから直接面接の指導をしてもらえて。
「そうですよ、少しはありがたみをわかってほしいですよね。この間も電話したんですけど、『今忙しいから。また今度ね』と言われて。えーーーーーって」
--へこみました?
「めちゃめちゃへこみました。私、電話でずっと『会いたいね』とか言ってるから、多分気持ち悪いんですよ。もう、めっちゃ好きです。弟依存です!」
--詩織は終わりかけの恋に執着して、彼氏にしつこいくらいに連絡をとって一喜一憂していますが、ちょっと通じる部分があるのかも。
「詩織の気持ちはわかります。私、寂しがりやなんで。未だに地元の宮崎に固執しているし、自分から離れていく人に執着心がわくというのはわかる気がします。意外とネチネチしてるんです。サバサバしたキャラクターなのかなと自分では思うんですけど。地元の仲のいい友達が海外に行くという話になると寂しすぎて、たくさん連絡をとったりもしました」
--弟さんに対してもだし(笑)。去っていくわけではないけど。
「そう、それが詩織ちゃんにとっては彼氏ということで、気持ちはわかります。現実世界では彼氏しか話し相手がいなかったから、この人まで居なくなってしまったら、本当に私一人になってしまうという気持ちになっていると思います。ネットに依存する理由もわかるし、彼氏に固執するのもそこに繋がっていて」
--若者にありがちな、見ている世界が狭い人なのかな。自分の周りのことが全てのような?
「でも自分では広いと思っているんです。勘違いしているんです」
--ネットを通せば、自分のメッセージが世界中に届いて、多くの人から反響をもらえるから、そういう気持ちになるのもわかります。
「そんな詩織が市原さん演じる風太郎から『喝』を入れられて変わっていきます。人間関係をどう築いていくべきかに気づかされます」
--市原さんの印象は?
「小さな頃からドラマや映画でずっと観ていた方だったので、最初は共演するのが畏れ多い気持ちでした。『ROOKIES』とかすごく好きだったので。風太郎の役が市原さんにぴったりで、『喝!』と言われると鳥肌が立ちました。目の奥まで熱い人です」
--市原さんが演じる役ってそういう熱い人物が多い印象ですね。
「市原さんはストイックで真面目な方。でも現場では優しくしていただいて、何回かNG出してしまったのですけど、『大丈夫だよ』ってフォローしていただいて……。市原さんが座長でいい雰囲気になっていました」
--ところで、ここ最近は映画の公開が相次いでます。
「はい。この作品のあとには、来年1月公開の『シグナル100』に出演しています。高校生役で」
--制服で!?
「はい。それから『泣く綾乃』という短編作品に主演していて、これは近日中に撮影に入ります(取材は10月中旬)」
--今春大学を卒業して……。
「社会人1年目です!」
--単位取得が順調で大学4年生のときはほとんど学校に行かなくてもよかったという話だったので、生活はあまり大きく変わったということもないのかも?
「そうですね。プライベートは変わらないですね。でも仕事は充実していました。今年、映画や舞台をコンスタントにやらせていただいたり、仕事で海外にも行けたし。海外へはがっつり2週間行きました」
--そういう仕事は学生時代では難しいですからね。
「はい。卒業してからは特にいろんな経験をさせていただいています」
--この充実ぶりがあるからこそ、"お酒は楽しいときだけ"という形にできているのかもしれませんね(笑)。
「そうですね。お酒は本当に趣味なので、今は焼酎を極めたいと思っています。極めたいといっても……」
--「飲みまくる」という意味ではなくてね。
「そうそう、そっちの意味ではなくて。ワインのソムリエのように利き酒ができるようになったり、専門的な知識を学びたいな。専門家になりたいです。そして25歳になったら焼酎のCMをやれるようになりたいです!」
--楽しみにしています。
〈プロフィール〉
工藤綾乃(くどう・あやの)
生年月日:1996年5月28日
出身地:宮崎県
血液型:O型
2009年、『第12回全日本国民的美少女コンテスト』でグランプリとモデル部門賞をW受賞。2010年、映画『劇場版 怪談レストラン』で主演デビュー。以降ドラマ&映画『鈴木先生』『つばめ刑事』、ドラマ『HIGH & LOW』『新宿セブン』『インベスターZ』などに出演。
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