2013年10月5日土曜日

東京から8000km、遠く離れたモスクワで日本の曲を歌うガールズバンド「Powder」インタビュー

Powderというロシアのガールズバンドをご存知でしょうか。

彼女たちは、モスクワ在住の13歳から15歳までのとてもかわいらしい中高生。もともとはロシアで音楽活動をはじめた彼女たちですが、YouTubeで日本語の楽曲をコピーした動画を投稿したのをきっかけに、日本のニュースサイトなどでも話題になるなど、現在少しずつ注目を集めているガールズバンドです。さらに先日、彼女たちはついに日本語でのオリジナル曲「DEN-NOCH(昼と夜)」をiTunesとAmazonでリリース。すでに日本でも耳の早いリスナーから徐々に注目されつつある彼女たちに、今回、ziggライターのmasaが、五時間の時差があるモスクワとのあいだで、Skype通話を使った彼女たちの独占インタビューを試みました。ロシアから見た日本の音楽シーンの特異性や、日本語で彼女たちが音楽をリリースしている理由、彼女たちの結成や新曲「DEN-NOCH」のことまで、たっぷりと聞いてきました。

Powder公式ツイッター https://twitter.com/RaGeVeSa

Powder公式YouTube http://www.youtube.com/user/913tak/videos


取材・テキスト:久家雅博


ゲーリャ(16歳)

マリーナ(14歳)


サーシャ(14歳)

ラーシャ(15歳)






Powderはどのようにして結成されたんですか?

ゲーリャ「最初は、私が学校で友達を集めて、バンドをはじめたんです。Powderではベースをやってるんですけど、ちいさいときから音楽がとっても大好きなんです!若い人が聴くような曲も大好きなんですけど、ビートルズとかも大好き。だから、ロックバンドを結成したんです。そのときのバンド名はPowderじゃなくって、ロックエンジェルスっていうんですけど、みんな学校を卒業したり、音楽を辞めちゃったりして、残ったのがわたしひとりになってしまって。だから、新しいメンバーを募集して、そこでラーシャと知り合ったんです」

ラーシャ「私にとっては、本当に「音楽はすべて」なんです。音楽が本当に大好き。なのでゲーリャとはすぐに意気投合して、一緒に活動していくことを決めました」


ゲーリャとラーシャが中心になってはじめたのがPowderなんですね。

ゲーリャ「でも、そのときはまだPowderっていう名前は決まってませんでした」

ラーシャ「モスクワのショッピングセンターでライブを開いたりしていたんですけど、ある日コンサートの直前に、ゲーリャと私と私のお父さんで話し合って、Powderという名前にしようって決めたんです」

ゲーリャ「名前を決めた直後、そのショッピングセンターでのコンサートで『Powderです!』って名乗って、そこからPowderがスタートしました」

ラーシャ「ライブを開いてたショッピングセンターで化粧品のパウダーが売っていたのを見て、Powderってかわいいな~って思って、これだ!って、ひらいめいたんです」

ゲーリャ「ロシアの女の子にとって、『Powder』っていう名前は、ふわふわしていて、いい匂いがしていて、女の子にとってとってもファンシーで、とってもかわいい響きのある言葉なんです」

サーシャ「私は、そのあとでメンバーに加入しました」

ラーシャ「キーボードを募集していたので、私のお父さんが、ピアノのスクールに通っていたサーシャを見つけてきたんです」


でも、サーシャはドラム担当ですよね?

サーシャ「はい。私は音楽スクールで五年ピアノを習っていたんですけど、13歳のときにドラムを始めて、1年間でドラムを覚えました!」


たった1年!? まだ中学生ですよね?

ラーシャ「それだけじゃなくて、サーシャは普通なら7年かかる音楽スクールを5年で卒業したんです」

ゲーリャ「音楽の才能が素晴らしかったので、ラーシャのお父さんが見つけてきたサーシャをメンバーに加えたんです。」


ラーシャのお父さんはかなりメンバーをサポートしてくれているんですよね。

ゲーリャ「はい。ラーシャのお父さんは音楽をしているので、Powderのことをすごくサポートしてくれているんです」


そして、マリーナは、つい最近はいったばかりのメンバーですね。

マリーナ「はい! マリーナです。中学3年生の14歳です!」


インターネットで新メンバーを募集して、何十人もの応募者から選ばれたんですよね。

サーシャ「そうです。マリーナは自分の演奏している映像を送ってきてくれたんですよ」

ゲーリャ「演奏もすごく上手だったし、そしてとっても可愛かったので、マリーナをメンバーに加えることにしました」

マリーナ「他のメンバーはみんなモスクワ出身なんですけど、本当は私だけ、シベリア出身なんです。シベリアとモスクワはすごく遠くって、本当だったらそんな遠くでの活動なんてありえないって思ったんですけど、でも、Powderでの活動がしたくて、モスクワでの活動を決めました」


当初はロシアでの活動をメインにしていたんですよね。芸能プロダクションとも契約ができて、テレビなどに出演したこともあったんですよね。そうしてロシアでも順調に活動をしていたようにみえるんですけど、どうして日本向けに音楽活動をはじめたんですか?

ゲーリャ「実は、ロシアでの活動は、なかなか思うようにいかない部分もあったんです」

ラーシャ「ロシアでたくさんの人に音楽を聞いてもらおうとすると、テレビみたいにたくさん宣伝費をつかってリリースしないといけないんです」

サーシャ「でも、日本では誰もがインターネットを使っていますよね?私たちの「歌ってみた」が多くの人に聴いてもらえて、手応えを感じました。カバー曲のYouTubeの反応を見ていると、私達の曲を聴いてみたいという声があって。それなら私達も自分たちの曲をぜひ聞いてもらいたいと思うようになったんです。でも、ロシア語でリリースしたらみんな歌詞がわからないから、日本語のほうが良いかなと思って」

ゲーリャ「日本の人たちならCDじゃなくてインターネットでも音楽を楽しんでくれると思っています」


そうですね。スマホも普及していますし、日本ではほとんど誰もがYouTubeなどで音楽を楽しんでいると思います。

サーシャ「ロシアでは日本ほどインターネットが普及していないんです。だから、インターネットで音楽を流しても、ほとんど聞いてもらえないんです」

ゲーリャ「それにロシアではどちらかというと女性だとセクシーなアーティストとかが主流で、私達みたいな若い女の子のバンドだと、ロシアでは音楽的な好みも違うし、ガールズロックバンドは日本のほうが受け入れてもらえる気がしたんです」

ラーシャ「それに、私達は自分たちの音楽を、お金の力じゃなくて、自分たちの力で届けていけるようになりたくって。ロシアではインターネットでプロモーションしても誰も聞いてくれないですけど、日本では気に入ってもらえれば挑戦できると思えます」

マリーナ「日本はとっても面白いです! 少しずつ作品を作っていって、日本でも少しづつ活動を増やしていきたいです!」


確かに日本にはアマチュアの音楽でもインターネットで楽しめる土壌がありますね。

ゲーリャ「ソーシャル・ネットワークのちからを使って、自分たちのチカラでPowderの音楽を広げていきたいんです。これからも少しずつ動画を投稿していくので、それを聞いて貰える人が増えて、もし私達の音楽を聞いてくれる人が増えたら、日本での活動をはじめてみたいです。そうやってすべていちから活動していくのに、日本はすごくぴったりだし、なにより私たちは日本がとっても好きなんです」


日本は魅力的ですか?

ゲーリャ「ええ、とっても!ロシアでは日本の文化がとっても人気なんです。和食とか、映画やアニメとか。日本にとっても興味を持ってます」

ラーシャ「和食なら、お寿司が好きです!」

サーシャ「お寿司は私も大好き!」

マリーナ「私は最近入ったメンバーで、実は日本にあまり詳しくないんですけど、でも、お母さんが日本料理、おでんを作ったりしてくれてました。お母さんの親戚が実は日本のレストランで働いていたんです」

ラーシャ「きゃりーぱみゅぱみゅはとっても可愛くて好きです。私はダンスも大好きなので、ぜひ踊ってみたいです」

ゲーリャ「きゃりーぱみゅぱみゅはわたしも大好きだけど、わたしは50代、60代の人が聞きそうな曲、美空ひばりとかも大好きです」

マリーナ「私はサカナクションとかが好きです」

サーシャ「私は安室奈美恵ちゃんがお気に入りです!」


かわいいものはメンバーみんな大好きなんですよね。

ラーシャ「もちろん! 女の子だから!」

サーシャ「メンバーはみんな派手なファッションがとても好きですね。カジュアルなのもいいけど。日本の原宿ファッションとかはすごいです。インターネットでいろいろ見てるんですけど、ロシアには日本みたいなお洋服は売ってないし、手に入らないです!だから、日本に行って、お洋服をショッピングするのが夢なんです」


日本のことはどうやって知っているんですか?

ゲーリャ「インターネットが多いですね」

サーシャ「ロシアでは日本の本とかは手に入りにくいので」

ゲーリャ「でも、ハルキムラカミとかは有名です!」




新曲のことも伺いたいです。結構凝ったミュージックビデオですよね? 全部自分たちで撮っているんですか?

ゲーリャ「みんなでテーブルを囲んで話し合って、どうやったらYouTubeを視聴している日本の人にアピールできるか、いちから全部自分たちで考えて作っています!」


最初の足元から入るシーン、そして黒い衣装、なんだか日本の袴に似ている気がして和風っぽいです。

ラーシャ「そうなんですか?」

サーシャ「日本の方からは和風っぽく見えるんですね! 意識していなかったです」

ゲーリャ「この衣装も全部私達自分で手作りしているんです。この衣装が和風っぽく見えるのは偶然ですけど、嬉しいです!」


――水を使うアイデアは誰のアイデアなんですか?

ゲーリャ「みんなで何かアイデアないかなーって話してる時に、私が。それで、みんなが「いいね!」って賛成してくれたんです」


――でも楽器が水に濡れてますけど、大丈夫ですか?

ゲーリャ「この撮影で使っているのはレンタルの古い楽器の小道具です!私たち、自分の大事な楽器はもちろん濡らしませんよ!(笑)」

ラーシャ「撮影ではいろいろ難しいことも合ったけど、でも毎回みんな楽しんでやっています」

マリーナ「私ははじめての撮影だったんですけど、すごく楽しかったです。水を使った撮影は、なんだか映画の撮影みたいでした」


今回の「DEN-NOCH」は「昼と夜」という意味なんですよね。

ゲーリャ「ふたりはとても違って見えるけど、昼と夜の関係のように、ふたりでひとつなのよ、って歌っているんです」

ラーシャ「私達の友達のロシア人の女の子が、日本人の男の子と付き合った経験をもとにつくった歌詞です。その女の子のその時の気持ちや経験を、歌詞にしてみました」

マリーナ「切ない歌詞が遠く離れた日本のみなさんに届くと嬉しいです」


今後もどんどん曲をリリースしてくれるんですよね。

ラーシャ「今度の曲はバラードを考えています。これから毎月プロモーションビデオをYouTube配信するつもりなので、ぜひ私達のTwitterやYouTubeをチェックして欲しいです!」


近々、日本に来る予定も立てているんですよね?

ゲーリャ「はい。Powderはできれば来年のゴールデンウィークあたりで、日本に来てライブができたらいいなと思っています」


それって会場とかちゃんと決まっているんですか?

ゲーリャ「いえ、まだ、そこまでは……今、ひとつのライブハウスさんとお話はしていますが、まだ決定していません。お金も頑張ってためているんですけど、やっぱり日本に行くだけでも、ビザとか飛行機チケットとか、全部自費なので。プロではないミュージシャンがライブをするために来日するのは、ビザを取るだけでも結構大変なんです」

サーシャ「日本に行ったらショッピングも楽しみたいんですけど、実はけっこうお金のことは大変です!(笑)」


そしたらせっかくこのインタビューは日本の人に読まれるニュースサイトにのるので、サポートしてくれる音楽関係者とか、呼びかけをしてみてもいいんじゃないでしょうか?

ゲーリャ「それはすごく嬉しいアイデアです! 日本の皆さん、どうかぜひ協力していただきたいです!」


じゃあ、最後に日本のファンのみなさんにひとことを。

サーシャ「本日はほんとうにありがとうございました。はやく日本に行きたい! 日本のファンのひとに会いたい! これが私の一番の目標です! 応援してください!」

ゲーリャ「私達の映像を見てくださっている皆さん、ありがとうございます!私も早く日本でライブがしたいです! 応援よろしくお願いします!」

ラーシャ「ゲーリャ、サーシャと同じく日本に行けるのを楽しみにしています!」

マリーナ「私は新しいメンバーで入ったばかりですが、みなさんよろしくおねがいします!」


はい、本日はありがとうございましたー。

ゲーリャ「せーの」


え?

Powderの4人「アリガトウゴザイマシタ!!!!!(日本語で)」



最後に日本語で「ありがとう」を言ってくれた4人。

いまどきの本当に可愛らしい女の子たちですが、しっかりした考えをたくさん聞くことが出来ました。

本当に後ろ盾もない状態で、中高生である彼女たちは自分たちのチカラで来日ライブを企てているみたいなので、この記事をご覧の音楽関係者さんたちなど、彼女たちの演奏を気に入ったら、ぜひ、彼女たちの来日とライブをサポートしてあげてほしいです!

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